算数プリントや漢字ドリルといった自分の手で書く宿題より、タブレット端末を使った宿題を好むお子さまが多いのではないでしょうか。
たくさんの宿題や学習内容に追われて、ゆったりと字を書く機会も減る傾向にあるようです。もはや「書くスキル」は重要ではないと考える風潮もあるかもしれません。
そんな今だからこそ、「自分の手で文字を書くこと」が、子ども達の脳の発達に大きな影響を与えることが、研究者達によって指摘されはじめています。
自分の手を使って文字を書くことが、脳幹の網様体賦活系にある細胞を刺激することは科学的に証明されています。しかしながら、キーボードをタイプして文字を書いても、同様の刺激は起こらないそうです。
手を使って文字を書くことは、書きたい文字を考えながら、文字の多様な線やパーツを組み合わせる複雑な作業を手で行うことで、脳がより活発に働くのに対し、タイピングは、似たようなキーを押して文字を選択する単調で簡略化された作業であるため、脳の作用に違いがあるのではないかと考えられています。
すなわち、脳が発達段階にある子どもにとって「自分の手で文字を書くこと」がより重要なのだそうです。
フロリダ国際大学のダインハート准教授の研究では、文字がうまく書けることと、学力が高いことに相関関係があることが示されています。その理由として、「字がうまく書けない子は、文字をきちんと書くことに意識が集中してしまい、自分が書く内容に注意が向かない」「字がうまい子の提出物は、教師にとって読みやすいからいい点数をもらいやすい」といったことを挙げています。実際、きれいな文字で書かれていると、調べ学習のノートを見返した時に自分の考えをまとめやすいとか、テスト前に授業ノートで復習しやすいなど、子ども達から聞くことがあります。提出物や掲示物がきれいな文字で書かれていると、より印象が良いのは大人もうなずけますね。
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